CCC - Cocoro Care for Children

ACTIVITY RESULTS〜活動実績〜

2011年3月11日の東日本大震災以降いわき市や飯館村に伺い、こどもたちの心のケア、併せて保護者の皆さま・教育現場のご担当者さまなどからの様々なご相談に対応してまいりました。その活動実績をご報告する記事をまとめたページです。

平成29年~30年の飯舘村の避難解除に伴う環境変化への対応(報告書)

CCC(こころケア・フォア・チルドレン)は、福島県立医大の黒田佑次郎氏らとの共同研究の一環として、飯舘村の子どもたちの成長を見守る活動を継続してきました。茲に避難解除から帰村に至る間の対応についてのCCCの活動を報告します。

 

背景

平成29年度は、本研究グループが支援の対象としている飯舘村の学童期の子どもたちにとって、平成29年3月31日の避難解除と住民や村施設の帰村、そしてその1年後の平成30年4月1日に仮設幼稚園および小中学校の廃止と帰村という2つの大きな区切りの間となる震災後の全村避難以来の大きな生活環境の変化を迎えることとなる1年となった。「帰村」は物理的な移動のみならず、友人関係、地域社会への帰属感など、人間形成に大きく影響する出来事であり、そういった環境の変化によるストレスについても十分に配慮する必要がある。特に元々生活基盤が脆弱な家庭に育つこども、知的あるいは神経発達の障害があるこどもたちは、こういった環境変化への適応困難や、変化から取り残されるリスクがあるため、保護者を含めた個別対応が必要になる。そこで我々は以前より村立幼稚園および村立小中学校において、知的障害や発達障害傾向があり、幼稚園や学校での適応障害などの問題を抱えるこどもたちの診察を含めた医療的対応を実施した。

 一方、村にとって村民の不帰村は村の存続に関わる可能性があるため、避難解除に伴い、村は積極的に帰村者の生活支援や魅力的な村作りに力を入れている。学校についても特徴的な魅力ある教育プログラムを提案し、村の将来を担うこどもたちを育てるための様々な取り組みを展開している。この中で、コミュニケーション能力、メンタル面でのポジティブ思考を育てることに寄与しうる教育プログラムは、放射線被害に対する他者からの差別的扱いに対処できるような心理的能力を育てることができると考え、注目している。そこで我々はコミュニケーション教育の実施について、学校に対してプログラム導入支援やその評価の実施方法の検討などの支援を行なった。

 

方法

1) 村立幼稚園への支援

発達スクリーニングを幼稚園教諭、保護者への自記式調査票によりに実施し、その結果に基づき、児童の発達に関する小児神経科医による診察の実施、園での様子、保護者の関わりなどの情報をもとに、診断、治療や療育の必要性、園での対応やフォローの方針を決める。必要に応じて保護者との面談も実施する。

2) 村立小中学校への支援

対応困難事例について、教諭やSSW、SCなどと個別ケース相談を実施。生徒・保護者と面談し、専門的見地から問題を探り、必要に応じて県立医大など専門機関への紹介、継続的なフォローにより問題解決を図る。

3) 村の学校作りへの支援

村が新たに導入を決めた「笑い」を通したコミュニケーション能力と自尊心の育成を図るプログラム学習である「笑育」が生徒のメンタル面でのポジティブ化、ストレングス化に繋がるかの評価の実施を行う。

 

結果

  • 1) 平成29年4月、7月、9月、12月、平成30年3月に訪問。発達スクリーニングを実施し、本年度の新入生6名のうち、3名について継続的フォロー対象とした。昨年度からの継続フォロー対象者3名と合わせ、こどもたちが素因として持ち合わせている知的および発達障害を踏まえた今後の継続的にフォローを行ない、園児のメンタル面でのサポートを行なう。
  • 2) 小学校:幼稚園の訪問と同日に計5回訪問した。3名の生徒(ASD不穏、遺尿)に関して、相談を実施した。本人および保護者の面接を実施。うち2例を専門機関へ紹介し、治療開始。継続的に面接フォローを実施。

中学校:相談2回、訪問1回。1名の生徒(知的障害+心因反応)に関して相談をうけた。本人および保護者の面接を実施し、担当教諭らと情報を共有した。

  • 3) 村の新規教育事業として導入された「笑育」について、実際にどのような効果が村のこどもたちにあるのか、調査するための調査票の作成を他市町村で実施された調査票をもとに設定した。この調査票を用いて、笑育の前と後での評価を行った。結果は現在、解析中である。

 

考察

  • 1) 学校の帰村に伴い、社会的能力の高い家庭の児童は、避難先自治体の学校への進学が増加している傾向がある。一方で、村立の学校に「残らざるを得ない」子どもたちの中には、もともとの生活基盤が脆弱で、保護者の問題、本人の知的障害、発達障害など、なんらかの問題を抱えていることも多い。「動き」に取り残される脆弱な児童と家族の存在に焦点をあてて、支援する必要性があることが明らかになった。
  • 2) 学校におけるコミュニケーション能力強化のために導入された「笑育」は、放射線被害に対する他者からの差別的扱いなどに対するリスクマネージメントとしての間接的教育効果があると考えられる。まずその心理的な教育的効果について明らかすることが重要と考えられた。

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